秘境や楽園のイメージを打破し、南太平洋は我々と同時代を生きていることを強調した、メラネシアとポリネシアの対比を行い、個々の島々が歴史に登場するプロセスを辿る、編者は吉岡正則、神戸大名誉教授、専攻は社会人類学、音楽人類学、著書「メラネシアの位階階梯制社会―北部ラガにおける親族・交換・リーダーシップ」他石森大知、法政大学国際文化学部教授、専攻は文化人類学、オセアニア」地域研究、著書「生ける神の想像力―ソロモン諸島クリスチャン・フェローシップ教会の民族誌」他
概要
2つの南太平洋ーメラネシアとポリネシア、1秘境と楽園―イメージのなかの南太平洋、2気候と自然-陸島・火山島・サンゴ島、3身体から見た2つのネシアー人類史が育んだ多様性、4言語からみた2つのネシアーマルチリンガルとモノリンガクの世界、5生業と食文化ーイモ」と豊穣の島・パンノキと欠乏の島、6島における嗜みービンロウ嚙みとカヴア飲み、7伝統な政治リーダーービッグマンと首長、南太平洋史、8島々の発見者ー南太平洋の人々のルーツと移住史、9大航海時代と探検家たちの発見―マザランからキャプテン・クックまで、10新たな支配者の到来ー押し寄せるキリスト教化と植民地化の波、11ミニ国家の誕生ー国際社会の周縁からグローバル課題の最前線、12近代を生きるー南太平洋の人々のいま、メラネシアの国々と地域、パプアニューギニア独立国、13南太平洋随一の国際都市-今を生きるポートモレスビーの鼓動、14熾烈な国会議員選挙ー勝ち組を目指して、15贈与社会の夢と現ー現代社会の鏡像としてフィジー共和国、16クーデタよ先住系の権利ー老政治家の悔恨と闘争から、17サトウキビ産業盛衰史ー基幹産業のたそがれ、18もう一つの多言語社会ーろう者のことばの世界、ソロモン諸島、19消える森林ー国家財政を支える森林開発、20民族紛争と平和構築―大規模紛争を収める取り組み、21パンパイプの響き―地域社会に息づく伝統楽器、ヴァヌアツ共和国、22都市のカヴァと島のカヴァーヴァヌアツ流、宵の楽しみ、23想像のオセアニアを消費するーヴァヌアツのクルーズ船観光、24サイクロンが来るのは誰のせいかー気候変動に関する人々の認識、フランス領ニューカレドニア、25多民族社会の成立―フランス系白人の入植と流刑囚、26食で巡るニューカレドニアー南国とフランスの香りを楽しむ、 27共通の運命の中の分断ー多民族社会のカナクとカレドニア、ポリネシアの国々と地域、トンガ王国、28国王が治める島ー神話から連なる王の血統、29オーストラリア在住のトンガ人移民ー越境する生活世界,30布を贈りあい、食物を分かち合う―トンガ王国の贈与経済と儀礼に彩られた暮らし、サモア独立国/アメリカ領サモア、分断されたサモアー西の独立と東の植民地継続、32やらないことに意味があるーマタイ制のもとでの分業、33南太平洋隋一の保険医遼制度ー住民参加型の保険医療とその行方、ツバル、34総人口一万人のミニ国家ーその生存戦略、35コミュニティを支える集会所ー社会生活の中心、36サンゴ島におけるゴミ問題ー自分たちの暮らしを振り返るために、フランス領ポリネシア、37楽園の喧騒ータヒチ島の人々の暮らし、38ふらんすの絆と確執ーフランス領ポリネシアとフランスとの関係、39身体に文様を刻む文化ータヒチのタタウ、その他の国・地域、40トケラウ、ニウエ、クック諸島ーニュージーランドの市民権を持つ人々、41ウオリス・フツナ諸島ーポリネシアのもう一つのフランス領、42ピストケアン諸島ーバウンティ号の反乱の子孫たちが住む孤島、43ラパヌイ(イースター島)-東の果てのモアイ像の島、グローバリゼーションの中の南太平洋、44最貧国における豊かさとは何かー経済発展とその代価、45太平洋諸島フォーラム―地域協力はどこへ向かうのか、46越境的な市民社会の活動ー住民主体の平和な太平洋を目指して、47高等教育の展開―南太平洋大学とパプアニューギニア大学を中心に、48グローバルに展開する南太平洋の伝統音楽―名もなき担い手から一人のミュージシャンへ、49オセアニアの現代芸術ー芸術と工芸の二分法を超えて、50南太平洋の女性指導者たち―女性のエンパワーメントに向けて、51気候変動と海面上昇ー南太平洋の小島嶼のゆくえ、52強まる中国の影響力ー中台対立の場から米中対立の最前線へ、53南太平洋諸国の新型コロナウイルス対策ー文化的慣習と近代テクノロジーでコロナ危機を乗り越える、南太平洋と日本、54第二次世界大戦ーソロモン戦史を中心に、55もう一つの戦争ー島の人々にとっての日本軍、56知られざる日本人移民―鉱山契約労働と真珠採取、サトウキビ栽培、57カツオ・マグロを求めてー日本企業の進出と漁業開発、58日本の最先端技術の導入とその後ー海水淡水化装置tご太陽光パネル、59太平洋・島サミットー日本と太平洋島嶼諸国との絆、60ステレオタイプ化を乗り越えるためにー現代の南太平洋と日本の関係、
感想
秘境や楽園のイメージで語られる南太平洋を、我々と同時代を生きる現代感覚を持ち込んだ60章、ミニ国家の生きるための懸命の努力が伝わる、
まとめ
2つの南太平洋、南太平洋史、メラネシアの国ぐにと地域、ポリネシアの国ぐにと地域、グローバリゼーションのなかの南太平洋、南太平洋と日本を考察、伝統文化、キリスト教と植民地、ミニ国家、気候変動、オセアニア・イギリス支配、原爆実験を辿る、