日本の後宮はなぜ男子禁制ではなかったのだろうか、なぜ男子禁制となったのかを念頭に置きつつ日本古代の後宮の実態に迫る、著者は遠藤みどり、東北大学大学院文学研究科博士後期課程修了、お茶の水女子大学准教授、専攻は日本古代史、著書「日本古代の女帝と譲位」他、
概要
後宮とは何か―古代日本への導入、中国の後宮制度、日本の律令制、日本での奇妙な現象、キサキの誕生ー五~七世紀、1古代日本女性の地位ー中国と異なる双系社会、キサキの役割、当時の婚姻事情、親子関係、2世襲王権の成立、キサキ制度へ、王号の付与・王のキサキとなる皇女、王族内の近親婚増加、皇太子制の成立、3皇后と皇太子―序列化される女性たち、実子の即位のために、母の身分と天武天皇の皇子たち、皇后制の成立、優遇されるキサキたち―奈良時代、1令制キサキの待遇と役割、上級男官に四敵する待遇、産み育てるための制度、2妃・夫人・嬪の実態ー文武から光仁天皇まで、聖武天れいせいのキサキたち、孝謙女帝の時代、光仁天皇即位前後のキサキたち、家政機関と邸宅、令制キサキの終身制、3氏女と采女―律令制の女官たち、上昇していく内侍司、十二女司の仕事、待遇、中国と異なる朝儀の序列、2女官たちはどこから来たか、采女の大幅増員、急増するキサキの再編―平安時代初期、1桓武天皇期の拡大と転換、桓武天皇から女御はいたか、桓武天皇と嬪、世婦と女御、平城宮の内と外、皇后はどこに、2平城天皇の後宮改革ー女官の供給と役割、氏女貢進の復活と志願氏女の増加、排除される既婚女官、采女の消滅、皇子女扶養制度の転換、女官削減、3女御と更衣の登場ー嵯峨天皇の膨大なキサキ、令1制キサキと令外キサキの格差、女御・更衣の乏しい生活基盤、配偶天皇死去後の処遇、母から妻、埋もれていく女性たちー平安時代前中期、1新しい後宮の成立―男女別の宮廷社会へ、橘嘉智子立后の画期-皇后宮職の縮小、天皇と皇后同居、皇后宮職の縮小・内侍ら女官の皇后奉仕、男女別の儀式へ、2母后の強い立場-妻より母として、女帝の終焉、母后の台頭と中宮、母后としての皇后、藤原隠子と安子母后の役割―天皇の後見役、3家父長的家の形成へー男性社会の影響、母后を媒介にした摂関による父権の行使、承和の転換、天皇と後宮、進む父系化、その後の後宮、一貫した象徴としての役割、
感想
キサキとは天皇の配偶者、奈良時代まで内裏外で皇后宮を営んでいたが、天皇の内裏内に「後宮」が形成されキサキが同居、「後宮制度」の変遷と実態に明らかにした、現在の天皇制は大きな岐路に立っている、
まとめ
後宮とは何か。キサキの誕生、優遇されるキサキたち、急増するキサキの再編、埋もれていく女性たち、天皇と後宮を考察、世襲王権成立とキサキ制度、奈良時代まで優遇される、平安期から後宮改革男女別の宮廷社会、母后の強い立場、家父長的「家」の形成、